学習院の「自然」をつくる 「血洗いの池にホタルを呼び戻す会からの報告(桜友会報102号より抜粋)

このほど「血洗いの池にホタルを呼び戻す会」(代表・大井昭彦)が発足した。
以下、同会の趣意書から抜粋して、その計画をご紹介しよう。

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学習院大学構内にある血洗いの池は、明治20(1887)年に作成された古地図に[金久保沢」の灌漑用溜池と記されていました。
学習院中・高等科が四谷尾張町より移転した後も、血洗いの池の周囲には、ところどころに湧水が流れ出していて、初夏には無数のホタルが飛び交っていたと聞いています。
shouwaryou2013_1数年前、昭和寮会会員の一人がホタル研究家であったことから始まった「目白の森のホタル塾」で、目白キャンパスの自然環境について話し合った際、複数の会員から「血洗いの池にホタルが飛んだらいいね」という声が上がりました。
そこでそのホタル塾の会員が、3年がかりで血洗いの池の水質とホタルの餌となるタニシ、カワニナ、サカマキガイの生息調査を行ってきました。
その結果、これらの生息がわずかに確認され、ヘイケボタルを血洗いの池に呼び戻すことに明るい兆しが見えてきました。
これをふまえて広く桜友会員に声をかけ、「血洗いの池にホタルを呼び戻す会」を発足させ事業を展開することになりました。
kawanina_tanishi手はじめに、平成24(2012)年11月の大学祭で血洗いの池にヘイケボタルの幼虫1000頭、本年2月末にはさらに1000頭の放流をいたしました。夏前には総計2500頭を放流する予定です。
順調にいけば、7月初旬には何頭かの平家ボタルが水面上を飛ぶものと期待されています。
hotaru-2ホタルの研究者の話では、かつて血洗いの池が灌漑用溜池であった頃、沢筋にはゲンジボタル、溜池にはヘイケボタルが仲良く生息していたということです。
私たちは次の段階として、より飼育が難しいとされるゲンジボタルの飼育に着手する方針です。
ゲンジボタルの幼虫と餌のカワニナは流水域に生息することから、一定の水路と清らかな流れが必要となります。
今のところの検討段階では、水路設置の候補地として血洗いの池の南側遊歩道脇の草地を考えています。
設備面では、太陽光で小型ポンプを稼働させ、水を循環して、流水路を作ることを提案しています。
これらが予定通り進みますと、3年から5年先には、血洗いの池周辺でゲンジボタルとヘイケボタルが織り成す光の舞を鑑賞できることになります。
私たちは在学生に季節感あふれた憩いの場を提供し、末永く学習院の貴重な歴史文化的財産でもある血洗いの池の豊かな自然を守るため、この事業をぜひとも成功させたいと考えています。

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